西村兄妹キモノ店

日々のお話

 

西村兄妹の交遊録①_細辻伊兵衛さん【前編】

2018.11.17

 

わたしたち西村家が日々お世話になっている方々は、

さまざまな業界で活躍されていらっしゃいます。

 

そのお仕事ぶりや人柄に刺激をいただく

皆さんとの対談を、

「西村兄妹の交遊録」としてご覧ください。

 

記念すべき第一回は、

日本最古の綿布商として400余年の歴史を誇る

「永楽屋細辻伊兵衛」の14世細辻伊兵衛さん。

 

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長髪&眼鏡がトレードマークの細辻さんは、

代表取締役でありテヌグラファーという

肩書きをお持ちです。

 

ここ数年の躍進がとくに注目を集めていますが、

実は、14年前に有楽町の阪急さんで

催事をご一緒させていただいたご縁があります。

 

「弊社は794年に奈良から京都へやってきました。

1500年代の文献にもその名を残し、

名字帯刀を許され、1615年には木綿を商っていました。

元々はキモノを扱っていましたが、

欧米文化の拡がりで木綿のキモノが廃れゆく中、

タオルを主力商品としていたものの

ライセンスブランドの波に乗り遅れて

ジリ貧の時代もありましたよ」

 

長い歴史における浮き沈みは避けられないものですが、

「その歴史はご先祖あってのこと。

向かい風の時期もあったでしょうが

追い風が来るまで辛抱した

先人たちのおかげでいまがあります。

昔の大変さに比べたら、

現在の不景気も大したことはない。

禁門の変をはじめとする

幾度もの絶望を軽々しても

諦めなかったご先祖たちの力はすごいですよ」

と、細辻さん。

 

今回の対談で印象的だったのは、

永楽屋さんが以前は、烏丸三条(現在のNTTの場所)に

驚くほど広い社屋を構えていたということ。

「昭和39年に国際会館を建てる際に、

破格の値段で譲ったと聞いています。

中小企業が多いここ京都では

横の繋がりを大切にして

まちのために奉仕する気概があります。

祇園祭は、その最たるもの。

そういう姿勢には学ぶところが多いですね。

自分の会社だけ良ければいい時代は終わり、

業界全体を、京都全体を

どう持ち上げるか、が求められていると思います」

 

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モノが溢れていく中で、

キモノはいらないものだと言われがちですが、

身近にないから知ることができないだけではないでしょうか。

知れば、きっと身近になる。

 

浴衣とキモノの間の選択肢が少ないのも問題です。

だからこそ、いまの日本人に親しみやすい

提案が必要となることを痛感しています。

 

今回、細辻さんとお話しながら

改めて、そういった想いを強くしました。

 

400年以上の伝統を受け継ぐ細辻さんの

今後を見据えた想いは次週の後編にて。

どうぞお楽しみに。

 

 

ヒロカズ