西村兄妹キモノ店

日々のお話

 

夏の風物詩

2019.08.10

 

暑中お見舞い申し上げます。

世間は三連休の初日。

今日からお盆休みという方も

いらっしゃると思います。

 

暦のうえでは初秋を迎えたというのに、

暑さは日に日に厳しさを増すばかり。

涼を感じる下鴨神社のみたらし祭が終わり、

清水寺の千日詣り、六道珍皇寺の六道まいり、

と京の夏の風物詩が続く中、

去る8月1日には「八朔」が行われ

わたくしもご挨拶のため、

日頃お世話になっている

お茶の御家元のもとへ参りました。

 

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八朔とは、旧暦8月の1日=朔日を略したもので、

花街では新暦8月1日に芸舞妓さんが

お茶屋や芸事の師匠宅へ

挨拶に回るのが伝統の行事。

 

旧暦の八朔は、新暦では8月30日頃で、

早稲の穂が実ることから

「田の実の節句」とも称されます。

農家では、古くから恩人などに

初穂を贈る風習があり、

公家や武家でも、

「田の実」=「頼み」とかけて

日頃、頼みごとをしてお世話になっている人に

その恩に感謝して

贈り物をするようになったといいます。

酷暑の中、黒紋付きの正装で

挨拶回りをされる姿は

ニュースでもよく目にしますね。

 

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来週16日には、五山の送り火が行われます。

晩夏に灯る送り火は、祇園祭と並んで

京の夏を代表する行事です。

ご先祖の霊をお送りする精霊送りの意味を持ち、

消えゆく火を穏やかに眺めながら

夏の終わりを惜しみ、

秋の訪れを感じるひととき。

 

最も有名な「大」の字は、

東山の如意ヶ嶽。

最初に点火され、細長く優美な字体が特徴です。

対して、太く逞しく見える

もうひとつの「大」は

20時15分、大北山に浮き上がります。

向かって左側に見えることから、

左大文字と呼ばれています。

20時5分点火の「妙法」は、

松ヶ崎西山と東山に。

ちなみに、「妙」と「法」は

2つでワンセットです。

20時10分には、西方寺の鐘を合図として

西賀茂山に「船形」が点火されます。

最後は水尾山に灯る「鳥居形」。

 

水やお酒の入った丸い盃に、

送り火を映して飲むと

無病息災に暮らせると伝わっています。

また、消し炭を奉書紙に巻いて

水引をかけたものを

家に吊しておくと魔除け・厄除けの御守に。

さらに送り火の前、

火床に登ってみるのも一興です。

 

我が家では、京都御所の蛤御門から

如意ヶ嶽の大文字を見上げるのが

毎年の恒例となっています。

精霊が冥府に戻られるのを見届けながら、

一年後の再会までの間

家族や友人知人の健勝と多幸を

心静かに祈りたいものです。

 

ヒロカズ