夏の夜空を彩る送り火は、
お盆の精霊を送る伝統行事。
東山・如意ヶ嶽に「大」の字が浮かび上がり、
松ヶ崎に「妙」「法」
西賀茂では「船形」
大北山に「左大文字」
嵯峨には「鳥居形」が順番に点ります。
それぞれの点灯時間は、わずか30分ほど。
20時から約1時間です。
今年は、Covid-19感染拡大防止のため
大幅に規模を縮小して実施されるため、
実際の文字や絵図は見られませんが
先祖の霊への想いは例年と変わりません。
送り火では、護摩木に自分の名前と病名を書き
火床の割木の上にのせて焚くと
その病が癒えるという信仰があります。
また、消し炭を持ち帰って粉末にして服すると
持病が治るという言い伝えも。
この消し炭を奉書紙に巻いて水引をかけ
家に吊るしておくと
魔除け・厄除け・盗難除けの
お守りにもなると信じられていて、
西村家では、登山が趣味の父が
毎年送り火の翌朝に如意ヶ嶽に登り、
消し炭をいただいてきます。
さらに、明々と燃える「大」の字を
杯に移して飲むと、
無病息災に過ごせるともいわれ、
我が家では昔から、盃を手に
御所の蛤御門から入ってすぐのところで
家族揃って点火を見守ります。
御苑は灯りが少ないため、暗い中、
「大」の字が少しずつ点っていく様子を
厳かな気持ちで眺めるのが恒例です。
また、義姉の実家が
マンションのペントハウスのため
兄は子どもたちと一緒に
鳥居以外の送り火を見て
過ぎゆく夏を偲んでいるようです。
残念ながら、今年は
帰省を断念せざるを得ませんが……
点火の時刻になったら
東京から想いを馳せたいと思います。
みなさんもどうか、
心穏やかなお盆をお過ごしください。
MIZUHO