西村兄妹キモノ店

日々のお話

 

五山の送り火

2020.08.15

 

 

夏の夜空を彩る送り火は、

お盆の精霊を送る伝統行事。

 

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東山・如意ヶ嶽に「大」の字が浮かび上がり、

松ヶ崎に「妙」「法」

西賀茂では「船形」

大北山に「左大文字」

嵯峨には「鳥居形」が順番に点ります。

それぞれの点灯時間は、わずか30分ほど。

20時から約1時間です。

 

今年は、Covid-19感染拡大防止のため

大幅に規模を縮小して実施されるため、

実際の文字や絵図は見られませんが

先祖の霊への想いは例年と変わりません。

 

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送り火では、護摩木に自分の名前と病名を書き

火床の割木の上にのせて焚くと

その病が癒えるという信仰があります。

また、消し炭を持ち帰って粉末にして服すると

持病が治るという言い伝えも。

この消し炭を奉書紙に巻いて水引をかけ

家に吊るしておくと

魔除け・厄除け・盗難除けの

お守りにもなると信じられていて、

西村家では、登山が趣味の父が

毎年送り火の翌朝に如意ヶ嶽に登り、

消し炭をいただいてきます。

 

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さらに、明々と燃える「大」の字を

杯に移して飲むと、

無病息災に過ごせるともいわれ、

我が家では昔から、盃を手に

御所の蛤御門から入ってすぐのところで

家族揃って点火を見守ります。

御苑は灯りが少ないため、暗い中、

「大」の字が少しずつ点っていく様子を

厳かな気持ちで眺めるのが恒例です。

 

また、義姉の実家が

マンションのペントハウスのため

兄は子どもたちと一緒に

鳥居以外の送り火を見て

過ぎゆく夏を偲んでいるようです。

 

残念ながら、今年は

帰省を断念せざるを得ませんが……

点火の時刻になったら

東京から想いを馳せたいと思います。

 

みなさんもどうか、

心穏やかなお盆をお過ごしください。

 

 

MIZUHO