西村兄妹キモノ店

キモノのコト

 

モノづくり~振袖を誂える~⑤

2023.10.12

 

今回のこのモノづくり~振袖を誂える~
では、以前西村兄妹キモノ店でお振袖を
お誂えいただいたお客様の事例をもとに
どのようにお振袖が作られていくのかを
ご紹介したいと思います。
※以前のブログより抜粋・加筆しております。

 

【第四回 金彩】

 

今回は金彩の工程をお客様にも実際見て
いただけるよう、工房の見学をさせて
いただいた様子をご紹介いたします。

 

作業場に足を踏み入れた瞬間、
ご家族の皆様から歓声が上がりました。
まだ作業途中ではありますが、目の前には
美しく染まった反物が広がっていました。
黒の地色に大振りなすずらん。
凛として美しく、引き込まれてしまいます。

 

振袖1

 

金彩技法は、手描友禅よりも古くから伝わる
技術です。染め上がった生地に金や銀の箔や
金粉を置いていく技術です。
金彩を施すことで友禅染をより華やかに、
そしてより美しく見せてくれます。

 

 

職人さんが、筒紙に入れた金入糊
(接着剤+箔)で、金線を描いていく
様子を間近で見せていただきました。
迷いのない動きと均一な仕上がりはこの道
50年以上の職人技が光ります。
箔はやりすぎても品がなくなってしまう
ため、どこにどれぐらい置いていくかは
職人さんのセンスの見せ所です。

 

4

 

すると、「やってみるか」という思わぬ
ご提案を受け、実際の道具をお借りしての
箔置き体験をさせていただきました。
「難しい!」と苦笑いしながらも、
上々の仕上がりに職人さんからも
お褒めのお言葉を頂戴しました。

 

5

 

次に見せていただいたのは、
振金砂子ぼかしの技法です。
砂子筒を用いるこの技法は、砂子筒に
金箔を入れ、接着剤を置いた箇所に、
刷毛で筒の中の箔を篩い落とすことで
金ぼかしを表現します。

 

7

 

ひとつひとつ丁寧につくられていく様を
知ることができて、
「いまから着るのが愉しみです!」
という娘さんに、
「ほんまに大事に着なあかんねぇ」
とお母さま。

 

普段では、実際に着用するお客様の顔を
見ることがない職人さん。
「どんな人が着てくれるのか分かって、
うれしいしやりがいを感じますよ」
と満面の笑み。このように職人さんとお客様を
繋ぐことができて、私たちにとっても
嬉しい時間を共有させていただきました。

 

次回は完成したお振袖をお見せいたします。