今回のこのモノづくり~振袖を誂える~
では、以前西村兄妹キモノ店でお振袖を
お誂えいただいたお客様の事例をもとに
どのようにお振袖が作られていくのかを
ご紹介したいと思います。
※以前のブログより抜粋・加筆しております。
【第四回 金彩】
今回は金彩の工程をお客様にも実際見て
いただけるよう、工房の見学をさせて
いただいた様子をご紹介いたします。
作業場に足を踏み入れた瞬間、
ご家族の皆様から歓声が上がりました。
まだ作業途中ではありますが、目の前には
美しく染まった反物が広がっていました。
黒の地色に大振りなすずらん。
凛として美しく、引き込まれてしまいます。
金彩技法は、手描友禅よりも古くから伝わる
技術です。染め上がった生地に金や銀の箔や
金粉を置いていく技術です。
金彩を施すことで友禅染をより華やかに、
そしてより美しく見せてくれます。
職人さんが、筒紙に入れた金入糊
(接着剤+箔)で、金線を描いていく
様子を間近で見せていただきました。
迷いのない動きと均一な仕上がりはこの道
50年以上の職人技が光ります。
箔はやりすぎても品がなくなってしまう
ため、どこにどれぐらい置いていくかは
職人さんのセンスの見せ所です。
すると、「やってみるか」という思わぬ
ご提案を受け、実際の道具をお借りしての
箔置き体験をさせていただきました。
「難しい!」と苦笑いしながらも、
上々の仕上がりに職人さんからも
お褒めのお言葉を頂戴しました。
次に見せていただいたのは、
振金砂子ぼかしの技法です。
砂子筒を用いるこの技法は、砂子筒に
金箔を入れ、接着剤を置いた箇所に、
刷毛で筒の中の箔を篩い落とすことで
金ぼかしを表現します。
ひとつひとつ丁寧につくられていく様を
知ることができて、
「いまから着るのが愉しみです!」
という娘さんに、
「ほんまに大事に着なあかんねぇ」
とお母さま。
普段では、実際に着用するお客様の顔を
見ることがない職人さん。
「どんな人が着てくれるのか分かって、
うれしいしやりがいを感じますよ」
と満面の笑み。このように職人さんとお客様を
繋ぐことができて、私たちにとっても
嬉しい時間を共有させていただきました。
次回は完成したお振袖をお見せいたします。