父が一代で築いた呉服店「あいぜん」は
わたしたちのルーツです。
音楽という夢を追っていた私と
メイクの勉強をしていた妹が
若くして「西村兄妹キモノ店」を
立ち上げることができたのも
両親の店があったから。
どんどんと衰退を余儀なくされるこの業界で
諦めることなく、腐ることなく
作り手やお客様とのご縁を大事にしながら
コツコツと努めてきた両親。
その姿勢や心掛けを見て育った
わたしたちが出来ることとは?
ずっと考えて続けていました。
既存の関係性はもちろん大切です。
ですが、新たな挑戦も同じくらい大事。
時代とともにキモノ人口が減少し、
生活に密着した民族衣装であったキモノは
気づけば一部の人が愉しむ嗜好品のような
特別感のあるものになっていました。
そこで、まだ20代半ばだったわたしたちは
自分たちと同世代の若者たちに
「もっと身近に」キモノを愉しんでほしい!
と考えるようになったのです。
(▲西村兄妹キモノ店を立ち上げる前の兄妹)
キモノではない何かではなく、
自分たちが当たり前のように親しんでいる
キモノそのもの、引いては和文化の魅力を
受け継いでいくべきだと思いました。
だからこそ、両親の店を継ぐのではなく
「西村兄妹キモノ店」を構えたのです。
(▲新風館から御所西に移転後すぐ)
ここ10年で、時代の時間の流れは
ますます加速し続けています。
時流を掴み、いままでになかった
新しいニーズに応えるためには、
実感と責任を持ちながら
自分たちの采配と裁量で決断し、
行動できることが重要でした。
今夏より念願だった
オンラインショップもオープンすることが叶い、
来る10月1日には16周年を迎えます。
両親から学んだ近江商人の「三方良し」の精神、
「和文化を身近に」といった教えを胸に、
これからも、互いに刺激し合い
良き化学反応を起こしながら、
素晴らしい「キモノ」をお届けできたら……。
どうぞこれからも「あいぜん」と
「西村兄妹キモノ店」を
よろしくお願い申し上げます。
ヒロカズ