西村兄妹キモノ店にて
スタートした京友禅振袖のお誂え。
前回は、その見本をつくる工程を
簡単にご紹介しました。
今回は、記念すべき第1号の
ご依頼主である女子高生とそのご家族が
見学された工房の様子をお届けします。
訪れたのは金彩(きんさい)という
箔を置く工程を担う工房。
作業場に足を踏み入れた瞬間、
ご本人はもとよりお母さまからも歓声が!
まだ作業途中ではありますが、
息を呑む美しさに一同感激です。
10代の乙女が選ぶにしては珍しい
黒の地色に大振りなスズランの花。
「他のひとと被らない柄にしたくて」
という言葉が示す通り、
個性的な彼女は服飾の専門学校へ
進むほどのファッション好き。
実際の作業風景に見入る目も真剣です。
末っ子くんは、今回の工房見学を
夏休みの自由研究にするとの意気込みで
質問しながらメモを取ることも忘れません。
その傍らで、お姉さんたちが撮影を担当。
金彩技法は、手描友禅よりも古くから伝わる技術。
職人さんが、筒紙に入れた
金入糊(接着剤+箔)で
金線を描いているところを
間近で見せていただきます。
迷いのない動きと均一な仕上がりに
この道50年以上の歴史を伺い知ることが
できて言葉もなく見入ってしまうほど。
「やってみるか」という思わぬご提案を受け、
実際の道具をお借りしての箔置き体験!
「難しい!」と苦笑いしながらも、
上々の仕上がりに職人さんからも
お褒めのお言葉を頂戴しました。
次に見せていただいたのは、
振金砂子ぼかしの技法。
砂子筒の中に箔を入れて篩い落とすことで
金ぼかしを表現します。
「カッターがなかった頃は、
小刀を使ってたんやで」
など、昔に比べて便利になった道具の話を
聴きながらその手元から目が離せません。
なんとも上品な箔の存在感!
ひとつひとつ丁寧につくられていく様を
知ることができて、
「いまから着るのが愉しみです!」
という娘さんに、
「ほんまに大事に着なあかんねぇ」
とお母さま。
瞳を輝かせながら作業風景を見守るご家族に、
職人さんも
「どんな人が着てくれるのか分かって、
うれしいしやりがいを感じますよ」
と満面の笑み。
ちなみに、その器用さとセンスを活かして
手ずからTシャツをアレンジするという
お茶目な一面も(笑)
いまから完成が待ち遠しいです。