西村兄妹キモノ店

キモノのコト

 

モノづくりの現場から_振袖を誂える②

2018.09.22

 

西村兄妹キモノ店にて

スタートした京友禅振袖のお誂え。

前回は、その見本をつくる工程を

簡単にご紹介しました。

 

今回は、記念すべき第1号の

ご依頼主である女子高生とそのご家族が

見学された工房の様子をお届けします。

 

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訪れたのは金彩(きんさい)という

箔を置く工程を担う工房。

作業場に足を踏み入れた瞬間、

ご本人はもとよりお母さまからも歓声が!

 

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まだ作業途中ではありますが、

息を呑む美しさに一同感激です。

10代の乙女が選ぶにしては珍しい

黒の地色に大振りなスズランの花。

「他のひとと被らない柄にしたくて」

という言葉が示す通り、

個性的な彼女は服飾の専門学校へ

進むほどのファッション好き。

実際の作業風景に見入る目も真剣です。

 

3

 

末っ子くんは、今回の工房見学を

夏休みの自由研究にするとの意気込みで

質問しながらメモを取ることも忘れません。

その傍らで、お姉さんたちが撮影を担当。

 

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金彩技法は、手描友禅よりも古くから伝わる技術。

職人さんが、筒紙に入れた

金入糊(接着剤+箔)で

金線を描いているところを

間近で見せていただきます。

迷いのない動きと均一な仕上がりに

この道50年以上の歴史を伺い知ることが

できて言葉もなく見入ってしまうほど。

 

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「やってみるか」という思わぬご提案を受け、

実際の道具をお借りしての箔置き体験!

「難しい!」と苦笑いしながらも、

上々の仕上がりに職人さんからも

お褒めのお言葉を頂戴しました。

 

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次に見せていただいたのは、

振金砂子ぼかしの技法。

砂子筒の中に箔を入れて篩い落とすことで

金ぼかしを表現します。

 

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「カッターがなかった頃は、

小刀を使ってたんやで」

など、昔に比べて便利になった道具の話を

聴きながらその手元から目が離せません。

 

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なんとも上品な箔の存在感!

ひとつひとつ丁寧につくられていく様を

知ることができて、

「いまから着るのが愉しみです!」

という娘さんに、

「ほんまに大事に着なあかんねぇ」

とお母さま。

瞳を輝かせながら作業風景を見守るご家族に、

職人さんも

「どんな人が着てくれるのか分かって、

うれしいしやりがいを感じますよ」

と満面の笑み。

 

ちなみに、その器用さとセンスを活かして

手ずからTシャツをアレンジするという

お茶目な一面も(笑)

 

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いまから完成が待ち遠しいです。