西村兄妹キモノ店

キモノのコト

 

モノづくりの現場から_振袖を誂える①

2018.09.08

 

成人式の振袖がレンタル主流に

なって久しいですが、

通過儀礼の代表格ともいえる

節目にこそ自分だけの特別な

お召し物を誂えませんか。

 

西村兄妹キモノ店では、

2018年春よりレンタルと変わらない価格で

京友禅振袖のお誂えをはじめました。

 

とはいえ、イチから誂えるとなると

右も左も分からないのが当たり前。

まずは、見本となる一枚をつくることに。

 

1

 

地色を選び、柄を決めて。

信頼できる悉皆のプロに相談し、

それぞれの工程ごとに

最善の技量と人柄の職人さんに

注文を出します。

描くのは、おめでたい場に相応しい宝尽くし。

 

2

 

どこに配置するかも併せて相談します。

 

3

 

画像は、糊防染(のりぼうせん)の作業。

その字のごとく、

色が入らないよう糊で防ぐ染色加工で、

糊を置いた部分が染まらないという

性質を利用して白く残したいところに

糊を施していきます。

 

そして、染めた地色は晴れやかな気分に

寄り添うような明るい黄色。

 

4

 

今回、なかなかその作業を

間近で見ることができない

職人さんの工房を訪れました。

その道45年。

 

5

 

柄に合わせて決められた色を

丁寧にのせていきます。

宝尽くしは色が多いため、職人泣かせな柄。

「色を塗るだけなら半年あれば

誰でも出来るようになりますよ。

それよりも大事なのは、色出し。

それこそが、

友禅屋の命だと言ってもええやろね。」

 

6

 

何よりも悩む色出し。

バランスを考慮しながら

色を決めていく作業で、

この配色こそが仕事の3分の2を占めます。

「色出しだけで一日、二日と

かかるときもあります。

悉皆屋さんの意向に近づけるために

濃淡さまざまな色を作り出して

試行錯誤を繰り返しますね」

 

7

 

伸子※1で支えながら下からの熱で

乾かしながら色を指していくのです。

丁寧な筆運びはもちろん、

色の感覚こそが職人さんの腕とセンス。

悉皆屋さんが絶大なる信頼を置く所以です。

※1 伸子 -しんし-

(布をピンッと張るための竹の道具)

「出来上がったときに、悉皆屋さんに

『ええねぇ』って言うてもらえると

やっぱりうれしいね。

褒められることが目的ではないけど

やってる上は褒められたい。

自分の色を大事にしながら、柔軟に。

あんまり我を出し過ぎんようにしながら、

満足してもらえるように

寄り添うようにしてるかな。

振袖をイチから好きなように誂えるなんて

新鮮なオファーでビックリしたけど

無理とは言わへんのは職人の意地かな(笑)」

 

8

 

次回は、実際にご依頼をいただいている

女子高生の工房見学に密着!